いい風景


バスに乗っていた。
いつもの1番後ろの左側。

通勤時間帯もあって、なかなか朝の時間は混む。
終点間際になると大分乗客もまばらになるが、元気の良いオバ様3人が結構なvolumeの声で盛り上がって話をしていた。
そしてどうやら話に夢中になったらしく、一つバス停を降り過ごし、一番若いオバ様が、「大丈夫、殆ど変わらないわ」と他の2人に何度もよりvolumeupした声で言い聞かせていた。

目的地はもともと予定通りのバス停からでも歩く必要があるのだろう。 しかし、どうやら内実は確実に遠くなってしまったようだ。

それにしても、あのオバさんの周りも巻き込むような言い様は独特だ。

それはいいとして…

それで、次のバス停に着いた時、言葉とは裏腹に結構な勢いでお三方はバスを降りて急ぎ足で移動を始めた。


そのお三方の中に一番お年をめして両手に杖を持っているおばあちゃんが居たのだが、軽くテンパった先を行くオバ様方は、そのおばあちゃんに気を使う余裕もなく、急ぎ足。

その時だ、両手に杖を持って、腰も大分曲がったおばあちゃんが、先を行くオバさんに遅れを取られまいとしてか、その様相からは想像を超えるスピードで移動しているではないか!

まるで両手に持った杖がスキーのstickの様に、第三第四の足の様に、杖と腕を巧みに使いこなし、成人男性の早足より早いのではないかと思う程の速度を出しているのである。

その動きは洗練されたアスリートの様子と同じ様な印象を残す程で、むしろ美しささえ感じられた。
私はそのおばあちゃんの歩みに魅了されてしまったのだ。
(あの杖と腕の一体感もさることながら、足のさばきも素晴らしかった~)


私は思う。
きっとあのおばあちゃんはあれだけ身体が使えるなら、杖が無くても普通に歩けるだろうなと(笑)


「身体は死ぬまで成長する」


勿論、物質的な筋肉やら何やらは衰えるが、そこではない生きている身体は成長し、客観的世界にも反映する。


私はその言葉の確かさを感じることの出来た、ありふれた日常の中での「いい風景」に出会えたのだった。



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プロフィール

Yasuchika

Author:Yasuchika
YASUCHIKA
舞踊家・俳優(+生躰研究家)


1999年より俳優を始め、2003年より踊り始め、2004年より、死んだら消える文化的かつ野性の身体観、生命観を学び始め、そのチカラを基とし、また蘇生させることを伴いつつ芸術表現へと転化させている。
2009年パフォーマンスグループKIUNJI(キウンジ)を立ち上げる。(2014 年より芸術企画として活動)
また2013 年より生躰研究家として「生きてるってどういうこと?」(=生因)や響命する身体を軸とし、身の持つ自然のチカラを活性させるワークショップや稽古会を行っている。
2017年9月舞踊家としての生前葬をソロ公演で行い、YASUCHIKAと改名し新たなスタートを切る。
また生躰研究家 金野泰史として「身体との付き合い方WS」も定期的に開催している。

このサイトでは、舞踊家・俳優 YASUCHIKA、【KIUNJI】企画の公演情報や自身のステイトメント、また生躰研究家としての身体観や考え方をブログ形式でお知らせします。


生躰研究家 金野泰史 稽古会 WorkShop(or lesson )案内はこちら


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